わたしはその姿を見て、保っていた何かが解らなくなってしまった。


泣き叫ぶ子供に負けた彼は別室で酒を呑み、ワケのわからない罵声と何かを割る音が聞こえる中、わたしにくっついて泣き疲れ、やっと眠った子供が不憫で少し泣いた。




守るべき者は自分じゃなく子供だったと思い出し、そしてまた、思い込み直した。

彼が酔っ払い寝付くのを恐る恐る探り、何も持たずに赤ちゃんの娘を背負い、息子を抱いてそーっと玄関の扉を閉めた。





息を殺して車に乗り、鍵を締め少し走り出し、何度も何度も追いかけられていないか確認し




やっとボロボロと涙が出た…。
ツラいとハッキリ認めてしまったていたじゃないか……。