変わらないもの

次の日、いつも通り美羽を迎えに行った。するとそこには、沢野の姿があった。


「美羽!」

俺が呼ぶと、美羽が手を振った。


「おはよぉ、翔太っ」


「はよ」


よく見ると、沢野と美羽は手をつないでいた。

「手・・・」

俺は思わず声に出してしまった。


「あぁ、これね。あたし、沢野君と付き合うことにしたの!」


「・・・」

言葉がなかった。
何ていえばいいのかわからなかった。


「じゃあ俺は邪魔したくないし先に行くよ」


俺はつくり笑いをした。
美羽たちから見れば、笑ってなかったかもしれないが、俺にとっては今できる最高の笑顔だった。


「じゃ、学校でな」


俺は二人の話を聞かずに、走った。