四月七日 高校入学
俺は違和感のある制服を着て、重い足取りで高校へ向かった。
三つ目の交差点を右にまがって三軒目。
いつもと違う、美羽の姿。
「おはよ、翔太」
「おぅ」
長くてきれいなストレートの髪が、中学の時とは違うことを実感させる。
美羽は、この制服が似合いすぎる。
「今日から高校生だね」
「うん」
「楽しみだね」
「うん」
俺はいつもと違う美羽と話すのが恥ずかしくて、ついつい鸚鵡返しになってしまう。
ほとんど何も話さず、高校に着いた。
美羽と俺は、家族ぐるみの付き合いなので、美羽が好きな俺には都合がいい。
昇降口に張り出されている、クラス割りをみる。
俺は自分の名前を探した。
美羽も俺の名前を探しているらしい。
「翔太、あったよ!」
「どこ?」
「あたしと同じ、三組だよ」
「本当だ。じゃあ教室行くか!」
「うん♪」
美羽は嬉しそうについてくる。俺は美羽が好きだが、美羽は俺のことを幼なじみとしか思ってない。
そして俺は、美羽の恋愛対象外だろう。