僕とまゆ

運命を信じたくなかった
運命を受け入れたくなかった


『お母……まゆ…癌やった』

『えっ嘘でしょ』

『嘘なんかで簡単にそんなこと言えないやろ』


まゆの時間は、僕の時間は、どうして…みんなと流れ方が違う…

この世に、神がいるなら、僕は、あなたに助けは求めない
神である、あなたが、この運命を決めたなら

『まゆ…大丈夫やで、先生も手術したら、大丈夫って言うてはったやろ』

『風ちゃん…』

『まゆ…』

大丈夫を重ねても重ねても、二人は涙が止まらない…
毎日のように、涙が止まらない

『お父…運命は欲する人のみ変化するんだよね…だめだと思った時にやめると次の駄目にも勝てないよね……僕は、僕は、まゆや家族を守れるのかな…』

『風助自分は人生という映画の主人公であり、監督でもあるんだ、ハッピーばかりの映画やドラマはつまらない』


お父に教えられた…
今、その声が聞こえた気がした…

『そうだよな…お父僕は今の人生のドラマを創らないといけないんだよなまゆと二人の大事な大切なドラマをハッピーエンドで終わらすには、今の大変が必要なんだよな大変の言葉は大きく変化するということだったよな』

まゆ大丈夫だよ
二人の大事な大切な運命は僕とまゆで創るんだから

大丈夫なんだよ
今までは人生のリハーサル、これからが本番だよ