私が我が儘を言ったのも、泣いたのも……その1回だけ。 誕生日に会う事はなかった。 誕生日だと……告げもしなかった。 その後、私達は何も変わらなかった。 相変わらず金曜日の仕事帰りに彼に愛され、私はその愛に酔った。 それでいいと、改めて思った。 関係が終わってしまう事の方が、私には怖かった。 彼の心が手に入らなくても、彼は私を酔わせてくれるのだから。