ネモ的、SFファンタジー短編集


「今はまだ、何も・・・。」


 ・・・・・・・・今は・・・・・か・・・・。


「分かった。では、私自身が出向くとしよう。」


 研究室から立ち上がり、かばんを棚から持ち出すサクラ。


「大尉自ら・・・・・ですか?」


 カーラの懸念そうな表情。


 何も、あなた自ら出向く必要は無いでしょうに・・・。


 言われなくても分かっているさ。


「私だってたまには、外に出たい気分だってあるさ。」


 そんな言葉でごまかしておいたが、本音は違うところにある。


 そう・・・・それは、私設の捜索隊の報告にあった一人の少女の名。


「・・・・・・まさか生きていたとはな・・・。」


 連絡が途絶えたから、すっかり死んでいたと思っていたが・・・。


 実に顔を見るのは1年半ぶりだろうか・・・。