ネモ的、SFファンタジー短編集


「まったく・・・このことが上層部に漏れたら軍法会議すら通さず、私は処刑されるだろうな・・・。」


 研究室の一室。


 モルモット部隊指揮官、サクラ研究主任はコーヒーを飲みながら、ふとつぶやいた。


 40歳という年齢の割りに顔中によったシワ。


 白髪が半分以上を占める髪の毛。


 40歳の男性ということ考えたら、サクラの姿はあまりにふけて見えた。


 当たり前だ。こんな、日の光もまともに当たらない、研究室にこもりきりの生活をしていれば、年老いるのも早くなるというもの。


「申し訳ありませんが・・・私もそう思います。」


 答えたのは、サクラの助手を務める、中年の女性。


 カーラと名乗るその女性は、自分と同じ40歳にもかかわらず、化粧の仕方がうまいのか、それとも秘訣の若作り方でもあるのか、その見た目は20代後半といっても通用するぐらい若々しいものであった。


「別に、あやまることではない・・・それより、監視は続けているのか?」


 先日、私設したエルシャンク捜索隊からの報告。


 まったく・・・・・・・いくら、相手が伝説の『黄土色ギア』のパイロットであろうが、所詮は20代そこそこの若造。


 スラムという無法者が集まる、小さな地区での『お山の大将』ではないか・・・。


 それが、大の大人が10人も集まって、逃げ出すとはなんと情けないことか・・・。


「はい・・・。ですがサクラ大尉には少々言いにくいことが・・・。」


「なんだ?金か?」


 最低でも3000万。


 猫の正体を知っているなら、二億ぐらいまでの値上げ交渉は予想している。


 破格の値段であることは、言うに劣らずだ。


 しかし・・・・・あの猫にはそれだけの価値がある。


 なぜなら・・・・・・・・