ネモ的、SFファンタジー短編集


「え?どういうコト?」


 今の言葉だけでは、キラは不明瞭だったらしい。


 理解力が貧しい女は嫌われるぞ、キラ。


「つまり、ワクチンを作るため・・・やろ?」


 海人の質問。


「そういうこと。ワクチンの作り方って、実は一番手っ取り早い方法が血清を入手することなんだよ。」


「血清?」


 ・・・そこからの説明か・・・・・・。


「つまりな・・・キラ、どんなウィルスでも約1%の確立で、抗体を持つ特別変異が生まれるというコトや。」


 だから、だいたい100体の動物にウィルスをばら撒くと、最低1匹はその病原菌に抗体をもった生き残りが出るという計算。


 ・・・・・・・・・・・それが、エルシャンク・・・・・・。


 海人が依頼を受けた猫の名前・・・。


「アトランテは、そいつの血液から血清を取り出して、ウィルスに対抗するワクチンを作るというわけだよ。」


「・・・・・・・・・・なるほどね。」


 納得したようなキラの顔。


 いや・・・


「キラ・・・気づいてないの?」


 アルクの質問。


 そうだ、こいつはまだ肝心なところに気がついてない。


 なんと言うか・・・・・・・馬鹿なのか?