ネモ的、SFファンタジー短編集


「はぁ・・・まぁいいですけどね。」


「覚悟してくれたかね!?」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・まぁ、確かに言われてみればそうだった。


「よく考えたら、生きていく力も抜けていましたし・・・。」


 そうだ。よく考えたら、どうして俺はあの時、『死にたい』なんて言葉を口にしたのか・・・。


 不意に思い出してしまったのだ。


 希望を持てず、気力を持てず、ただ・・・死ぬことができれば楽になると思ったのだ。


「なんだね?もしかして自殺願望者だったとか?」


 相変わらず、明るい口調で話しかける死神。


「別に、そういうわけじゃないですけどね・・・だけど、人間だったら、一度は思うでしょ?『死にたい』なんて事ぐらい・・・。」


 コノ世界を生きるのは、とても大変だ。


 この国は裕福なはずなのに、この世界はとても平和なはずなのに・・・


 ・・・・・この世界は、とても生きにくい・・・・。


 仕事で馬鹿にされ、給料は上がらず、頑張っているはずなのに認めてもらえない。


 ある人はいうだろう。


 ・・・・・・・・努力が足りない・・・・と。


 しかし・・・それでも思ってしまうのだ。


 ・・・これでも、十分頑張っているんだよ・・・・。


 しかし、コノ言葉を聴いた瞬間、死神の表情が一変する。


 先ほどの明るい顔とは違い、少し影の帯びた顔。


 瞬間、『はぁ~~』と、とても大きなため息をついたかと思うと・・・。


「・・・・あんたさ・・・前世でも幸薄そうな顔してた癖して、今生でも幸薄い人生送っているのね。」


 突然、感慨深くそんなことを言われた。