「本当に、こんな方法でうまくいくんか?」


 あの日から二日後。


 交渉当日。


 海人、キラ、アルク、そして、菜々とカゴに入れられたエルシャンクは、緊張した面持ちで、客を待っていた。


 今回彼らのポケットに入っているのは、おもちゃなんかではなく本物の拳銃。


 前回とはわけが違う。


 万が一の時には、菜々の目の前で人を殺さなければいけない状況である。


「さあね・・・可能性は五分五分と言ったところかな?」


 自分で仕掛けておいて、なんだその無責任発言は?


「でも、実際に見張りは消えたよ。」


 キラの言うとおり、昨日の朝をもってあれほど執拗に監視していた軍の目がパタリとやんだ。


 アトランテが監視をやめたことで、同じように見張っていた虎神も混乱したらしく、昨日の昼には自分たちを見張るものは誰もいなくなっていた。


 どうやら、向こうは条件を飲んだらしい。


 ならば、こちらも自分たちが提示した条件を果たさなければならない。


「危険な賭けであることは、最初から分かっていたことだろう?・・・来たぞ。」


 アルクの表情が変わる。


 外から聞こえる機械音。


 ココから察するに、車と、ギアが一機ずつ・・・。


 人質交渉にギアはあまりに不釣合い。


 一応、念のため・・・と言ったところだろう。


 車が一台と言うことは、せいぜい護衛部隊は10人程度。


 俺たち三人なら、何とか渡り合えないこともないか・・・・。