ネモ的、SFファンタジー短編集


「なんだ?」


 機嫌が悪いこともあって、荒々しい声が漏れる。


『サクラ大尉・・・大尉に向けて外線が入ってます。相手は、アルクとだけ名乗っておりますが、お繋ぎいたしますか?』


「なんだと!」


 思わず、そんな声が漏れた。


 当然、その名前が誰か分からないわけではない。


 だが、なぜこのタイミングで向こうから連絡を取ってきたのだろうか?


 まさか、わざわざコケにするために電話をかけてきたとかではあるまい。


 いや・・・・・・若造ならそれぐらい思慮の浅い行動に出ても不思議は無いか・・・。


「分かった、つないでくれ。」


 とりあえず、相手の目的が何であれ、話をしてみないことには分からない。


 万が一、再び私をコケにしようものなら、そのときは覚えておくがいい。


『お久しぶりです。サクラ大尉』


 画面越しに、あのときの憎らしい笑みが見える。


 もし、画面の向こうに手を伸ばせるなら、今すぐにでも、ぶん殴りたいところだ。