ネモ的、SFファンタジー短編集


 サクラは苛立っていた。


 当然だ。


 相手はただの野山の猿たち。


 世間の常識もルールも分からないような若造集団。


 そんな連中に言いようにあしらわれたのだ。


 私がワザワザ出向いたにもかかわらず、ワザワザ下手に出てやったのにもかかわらずだ。


「あいつら・・・どうしてくれる?」


 考えたところでいい策が出るわけではない。


 さすがに猫一匹に軍は動かせない。


 当然、ギアなんて論外だ。


 だけど、いかなる手を使ってでも、あいつらから猫を取り返さなくてはならない。


 あいつらが口にした言葉。


 ・・・・・・・『虎神は5000万用意するといってます』・・・。


 あの猿たちは、間違いなく虎神とも交渉をするつもりだ。


 万が一虎神に猫が渡ってみろ。


 すべてが無に返すぞ。


「くそっ・・・。」


 思わず、そんな声が漏れた矢先、研究施設の電話が鳴った。


 主に、内線専用となっているテレビ電話。


 通話のスイッチをつけると、オペレータの顔が映し出された。