ネモ的、SFファンタジー短編集


「ねぇ、私が話してみようか?」


 海人が思案に明け暮れた瞬間、 突然菜々が提案してきた。


「「「は?」」」


 そりゃ、三人からそんな声が出るのも仕方ない。


「キラたち、お父さんに何かお願いしたいんでしょ?」


 いや・・・確かに間違ってないが・・・。


 いくら実の娘だからって、よほどの子煩悩でもない限り、子供がお願いして、聞き入れてくれるものではないぞ。


「ありがとう菜々。まぁ、気持ちだけ受け取っておくよ。」


 キラが彼女の気持ちを汲んでそんな言葉で返事をしておいた。


 そりゃ、実の娘というコトで利用できるものなら利用したいが、残念ながらなぁ・・・。


「そっか・・・残念・・・。」


 本当に、悲しそうな菜々の顔。


 しかし、それを見た瞬間。


「いや・・・まて、実際にいい手だ。菜々・・・お願いできる?」


 突然、アルクが何かを思いついた表情をした。


「「は?」」


 そりゃ、海人とキラが不思議そうな表情を浮かべるのも無理はない。


 お前・・・正気か?


 口にしようとした瞬間。


「うん!任せて!」


 菜々の元気な声が三人の大人たちの間に聞こえるのであった。