ネモ的、SFファンタジー短編集


「サクラ=ガラドル大尉・・・確かに、結婚暦がある・・・子供もいたみたいなことが書かれているけど・・・。」


 パソコンを前にアルクが驚いた表情を見せる。


 どうやら、アルクもそこまでは気がついていなかったらしい。


 ここはアルクの自室。


 様々な子機やら、わけの分からない本が散らばるのはいいが・・・こいつ、少し部屋の片付けぐらいしろよな・・・。


 足の踏み場も無い・・・。


「それが、菜々ってわけか?」


 さすがに、アルクの情報網を通しても、その子供の名前までは出てこないらしい。


「根拠はどこにも無いけどね。」


 確かに、子供がいるらしい・・・だけでは、それが菜々という断定はできない。


 だけど・・・まぁ、本人がいう以上は、その可能性は高いだろう。


「さらに、ややこしい問題になってきたな・・・。」


 思わず、口に漏れる。


 菜々をいつまでもこの家においておくわけには行かない。


 それが、三人の中での見解だった。


 いつかは、施設に・・・できることなら親元に帰すべきなのだ。


 しかし、いざ現れた父親は、現在アルクたちとは敵対関係。


 それでも菜々を返すぐらいなら問題ないのかもしれないが、彼女を帰したら、自動的にエルシャンクまでもついていくだろう。


 何せ、エルシャンクは海人たちになついている訳ではなく、菜々になついているのだから・・・。


 だが、それは同時にあの小者悪党に、猫が渡るというコトでもある。


 もちろん、菜々とエルシャンクを引き離すという手が無いわけでもないが、何せ相手は猫だ。


 こちらの予想、行動、考え、すべてを無視した行動に出るのは目に見えている。


 この二つを引き離すというのは、あまり得策とはいえない。


 さて・・・ならば、これらすべての問題をどうやって解決すればいいものか・・・。