ネモ的、SFファンタジー短編集


「どちらにしても、こんな生活から開放されるなら私はかまわないよ。まったく・・・この前も買い物している間、後ろからずっとつけられて・・・気持ち悪いったらありゃしない。」


 キラの言うコトももっともだ。


 彼らに対する軍の監視は、日に日に激しさを増していっている。


 当たり前といえば、当たり前なのだ。


 サクラが口にした言葉。




 ・・・・世界の命運を握る猫。





 それが、今この家にいる。


 その飼い主を見張るのは、軍としては当然の行動。


 だが、見張られているこちらとしては、たまったものではない。


 アトランテだけではなく、最近は虎神の連中までこちらを見張るようになってきている。


 何とか、打開できないものかと考えていた矢先に、細菌兵器の開発主任から『会いたい』という連絡。


 まさに渡りに船だった。


 しかしこの船・・・一歩間違えば、一瞬にして海に沈む。


 慎重すぎるなんて、言葉はない。


 アイツをうまく利用して、何とかこの厳しい監視を解いてやらねば・・・。