閉まった瞬間――





 稚奈は

 不思議な違和感を覚えた。




 せまい店内を見回すと



 壁一面に

 備え付けられた本棚には

 重々しい装飾の本が

 不揃いに並び



 あいた空間に

 所々、古い小物が並ぶ。




 白鳥のオルゴールに

 真珠をちりばめた宝石箱。




 銀の装飾がなされた鏡に

 黒曜石の星座盤。




 頬の汚れた青い目の人形が

 こちらをじっと

 見つめている。





 年代物の柱時計が

 カチッ、コチッ、と

 規則的な音を刻み



 吊るされた

 カラクリ天体模型が

 ゆっくりと天井を旋回する。




 1つだけある

 木製のテーブルと椅子には

 細かく薔薇の花が彫られていた。





 不思議な空気の流れる空間――





 ひときわ目立つ

 ショーケースの中の

 スイーツに

 稚奈は目を奪われた。