「あれ?」





 稚奈は、不意に足を止めた。





 ひどく疲れた帰り道

 突然、ないはずの場所に

 ぼんやりと光る

 店の照明。





「こんな所に、ケーキ屋さんなんてあったっけ?」





 数メートル先の通りの

 少し奥まった

 小さな家のような建物。





 そこの窓から

 やわらかい明かりがもれる。





 稚奈は、何となく

 引き寄せられるように

 その小さな建物へ向かった。