「何かさ、私達めちゃくちゃ注目浴びてない?」
「みたい、だね……」
と、苦笑いな犬塚と宮永。
沢山の視線は、未だこちらを向いている。
「どうなっているんだ?」
何がなんだかわからなくなった俺は、思わず声を漏らしてしまう。
「や、やばいな……」
清水は頬を引き攣らせ、その場に立ち尽くす。
それも無理はないだろう。
というのも、さっきまで千手観音に群がっていた周りの沢山の客たちが、今や俺達に視線を向け、俺達は清水寺で一番人気らしい千手観音よりも人気スポットのようになっていたのだから。
「とりあえず、逃げるわよ!」
口元に手をやると、犬塚は囁くようにそう言った。
その言葉にコクリと頭を上下させる宮永、清水。そして、何かこのままだとまずいことになる思った俺は、彼等の後に続いて深く頷いた。
それを見計らってか、犬塚は俺達を招き、小さくある作戦を告げた。

