「い……犬塚。ナイス肘鉄……!」
苦しそうにしながらも、清水は精一杯喉から声を絞り出して、言葉を吐く。
そして、腹にあった両手の片方を前にやると、親指をグッと上に突き上げた。
「ご、ごめん清水。条件反射でつい……」
「いいって。気にすんなよ。元はといえば俺が悪ぃんだから」
――パチパチパチ。
その時、何処からか、拍手と共に沸き起こる大きな喚声。
何か素晴らしい芸術作品でも展示されているのだろうか?
気になって仕方ない俺は、寺中を見渡す。
「つ、椿ちゃん」
そんな、宮永のか弱い声が聞こえた瞬間、俺は驚愕の事実に自身の目を疑う。
この時、不意にもかかわらず気付いてしまったのだ。
大きな歓声を受けていたのは、そう……。
俺達だったということに。

