【完】スマイリー☆症候群




「い……犬塚。ナイス肘鉄……!」


苦しそうにしながらも、清水は精一杯喉から声を絞り出して、言葉を吐く。

そして、腹にあった両手の片方を前にやると、親指をグッと上に突き上げた。


「ご、ごめん清水。条件反射でつい……」

「いいって。気にすんなよ。元はといえば俺が悪ぃんだから」


――パチパチパチ。


その時、何処からか、拍手と共に沸き起こる大きな喚声。

何か素晴らしい芸術作品でも展示されているのだろうか?

気になって仕方ない俺は、寺中を見渡す。


「つ、椿ちゃん」


そんな、宮永のか弱い声が聞こえた瞬間、俺は驚愕の事実に自身の目を疑う。

この時、不意にもかかわらず気付いてしまったのだ。

大きな歓声を受けていたのは、そう……。

俺達だったということに。