【完】スマイリー☆症候群




「ん……あれは何だ?」


ふと、本堂で金色に光放つある1つの像に目が止まる。


「あー、あれは千手観音って言うのよ」

「せんじゅ……?」

「そう。千の手に観音って書いて、千手観音」


ちらりと犬塚に目線を送ると、彼女は「あんた、結構有名なのに、そんなことも知らないのね」と小さく妖艶に笑みを浮かべた。

千の手……。ってまさか!

俺は、とんでもないことに気付いてしまったぞ。

この像には、千本の手がついていると言うのか!


「よし、数えてみよう」

「いち、に、さ……「恥ずかしいから止めなさい! ってか、千手だからって千本の手があるんじゃないんだからね、亮介?」


呆気なく、俺のカウントは犬塚に凄まじい勢いで遮られてしまう。