【完】スマイリー☆症候群




犬塚に叩かれた植木の頬には、くっきり、そして赤々と見える彼女の手形。


「あ、その……ごめんね。つい……」


彼女は正気を取り戻したらしく、申し訳なさそうに植木を見る。


「いや、犬塚は悪くない。」

「亮介……。やっぱり痛かったでしょう?」


スッと近付いた彼女は、優しく彼の頬に手を触れた。


「――っ!? い、犬塚?」


動揺のせいか、流石の植木も赤くなり、額からは尋常じゃないほどの汗をダラダラと垂らしている。