「色々とありがとうございました」
「いいえーおおきに。いつでもお待ちしてますさかい、また遊びに来ておくれやす」
お世話になった舞妓さん達に挨拶をすると、俺達は京の楽園をあとにした。
「いやー! しっかし、最高に美しかったよなー、舞妓さん」
「あぁ。初めて見たが……確かにキレイだったな」
っ!? 一瞬、自分の耳を疑った。
それもその筈。いつもは響くはずのない音が、俺の耳でしっかりと響いたのだから。
彼の身に何が起こったのか……。俺の独り言を拾ったのは、誰がどう聴いても植木の声だった。
「お? 植木さん、まさかの共感っすか?」
予想外の出来事に、俺の顔は最高に綻んでいる。
「いや……」
「ムフフっ。恥ずかしがらなていいんですよ、植木くん? 君も舞妓さんの優雅な立ち振る舞いに魅せられてしまったんでしょう? さあ、白状なさい」
「清水、別にそういう意味ではな……」
「亮介くん? 照れなく……「だから! 亮介はあんたとは違うって言ってんでしょ!?」
――ビリッ!
その時、俺の脳内に300ボルトの電撃が走った。

