そして俺は、ゆっくりと姫の肩へと腕を伸ばしていく。
あと15センチ……10センチ……目線完璧……5センチ……落ち着け俺……1センチ……つい――
「植木くん表情硬いで? ほら、ニッコリ笑って」
「っに゙!?」
「……あぁ、すみません」
植木は小さく言うと、ほんの少し口角を上げてみせる。
ガーーン。
ちょ、植木……。がぁああああああ! 何なんだよコレ!
嗚呼神様。俺なんか悪ぃことしましたか? 気付かぬうちに、何か罪を犯してしまってたんですか!?
まるで、これは悪魔から俺への故意な意地悪――としか考えられなくなった俺は、少しの間その場で落胆していた。

