【完】スマイリー☆症候群



そして俺は、ゆっくりと姫の肩へと腕を伸ばしていく。

あと15センチ……10センチ……目線完璧……5センチ……落ち着け俺……1センチ……つい――


「植木くん表情硬いで? ほら、ニッコリ笑って」

「っに゙!?」

「……あぁ、すみません」

植木は小さく言うと、ほんの少し口角を上げてみせる。

ガーーン。

ちょ、植木……。がぁああああああ! 何なんだよコレ!

嗚呼神様。俺なんか悪ぃことしましたか? 気付かぬうちに、何か罪を犯してしまってたんですか!?

まるで、これは悪魔から俺への故意な意地悪――としか考えられなくなった俺は、少しの間その場で落胆していた。