【完】スマイリー☆症候群




「まさか清水が、自分を忘れてしまうとは……」


やっぱりーー! コイツ絶対勘違いしてやがんよ。

お前ぇの思考回路、どうなってんのぉぉぉ!?


「よし、まず名前からだな……。いいか、お前の名前は清水孝治っていうんだぞ」


はいそうです。俺、清水孝治ですけど。普通に知ってますけど。


「いや、あのさ……植木」

「何っ! 俺のことがわかるのか、清水! 少し記憶を取り戻したんだな」


キラキラと眩しく輝く瞳を俺に向ける彼。


「言っとくけど俺、記憶喪失じゃないんだけど」

「そ、そんな……」


暫く続く沈黙。まるで時が止まったかのように静かになる室内に響く、時計の秒針。

俯いた顔を勢い良くパッと上げた植木は、鋭く前を見る。


「そうだったのか、すまない。またまた勘違いしていたようだ」


何回勘違いしてんだ、おい!

呆れて物も言えない。そんな言葉がピッタリだ。

まあ、そんな天然なところが、コイツの良い所の1つなんだけどな。


「2人共、そろそろ行くぞ。準備出来たか」

「あ、はい!」

「大丈夫です」


植木の2度目の勘違い騒動も終わり、既に着付けも完了していた俺達は、元来た場所に戻ることにした。