「……よし、これだ!」
数十分程悩んだ末、俺は1枚の着物を選び出した。
それは、黄土色がベースとなっていて、模様という模様はストライプとワンポイントの紅葉のみという、シンプルなデザイン。
帯は少し派手目で薄いオレンジだが、大人っぽいデザインの着物と合わせると調度良い具合になる。
「おい植木ー、お前も着物決まったか?」
「ああ。さっき決まった。……この着物にしたんだが」
そう促されて、俺は視線を奴の手元に移す。
「お? その着物、結構いい感じじゃねーか」
眼に映った着物をまじまじと見詰めると、俺は不意にもニヤリと微笑んだ。
植木が選んだその着物は、渋い緑と芝色が絶妙なハーモニーを醸し出している、これまたシンプルでクールなデザインの着物。
柄1つない着物と併せられた灰色の帯が、着物の良さを更に引き立たせている。
「清水はん、植木はん。今から着付けしますさかい、選んだ着物持ってきてください」
「あ、はい」
舞妓さんに手招かれて、俺はくるりと進行方向を定める。
そして、俺達はさっき自分で選んだ着物を持って行き、着付けを始めてもらうことにした。

