「ほんなら、犬塚はんと宮永はんはウチについて来ておくれやす」
「「はい!」」
奥に続く廊下に誘導する1人の舞妓さん。
宮永と犬塚はコクリと頷くと、その後に続いて歩み出す。
「ほんなら、2人はウチの後に続いてくれはります?」
これは、これは……。かなりの美人さんではないですか!
「勿論、喜んで!」
美人舞妓さんに気分が上昇した俺は、満面の笑みで口を自然と開いていた。
「同じくだ」
俺が発言した直ぐ後。
続いて植木はそう言うと、勢いよく右手の親指を前に突き出す。
俺が見る限り、その表情は新しい世界に胸を踊らすぴかぴかの1年生のように、初々しくキラキラと輝やいていた。
「おおきに。ほなお2人さん、行きますえ?」
「はい!」
これから先への期待から募る緊張感と共に、俺は心の底から大きな返事をした。

