「俺は、ヲタクだったんだ!」
…………。
いや、違うよ植木くん!
私達にとって、それは予想外の発言でしかないわけで。
「……あんた、どうしたの? 突然」
椿ちゃんは、まるで変なものを見るように眉をひそめる。
それは、通常の人間ならば当たり前の反応なのだろう。
「何故今まで気づかなかった。……犬塚、心から感謝する」
「いや、だからそれは、私の口実で……」
私はいつも、植木くんの突然の珍発言に驚かされる。
他人より数倍、人の言葉を信じ込みやすい植木くんを手なずけるのには、少し……いや、かなり時間がかかりそうだ。

