「喜んで」

「……っ」


右手に感じる、柔らかな感触。

温かくて、優しくて。

気づいたときには、俺の右手は宮永の小さな両手にそっと包まれていた。

……目の前にいるのは、天使なのだろうか。

瞳にばっちりと映るシルエットが、愛しくて堪らない。


――グイッ。


「……えっ」


小さく零れた愛らしい声。

俺は重ねられた手を引いて、バランスを崩した宮永を腕の中で抱き締めた。


「俺、宮永のことめちゃくちゃ大事にすっから!」

「う、うん」


嗚呼、神様。

幸せすぎて死にそうです。


「……そろそろ、弁当食うか?」


名残惜しくも、俺は宮永を放す。


「そうだね」


お互い、何故だか不意に見つめ合った。

視線が密に絡まって、無言のままに時が経つ。

そしてまた、何故だか急に笑い合った。