「そりゃあ、そうだけどよ」
そうは言っても何か不満そうに言葉をつぐむ清水くん。
「じゃあ、何? あんたは先生に怒られた揚句、修学旅行に行けなくなった方が嬉しかったわけ!?」
「す……すみません、犬塚さん。俺、修学旅行に行けて超幸せっス!」
「わかったんなら、良し!」
どうやら、清水くんは椿ちゃんの勢いに負けてしまったのであろう。
小さくなった清水くんが渋々放ったその言葉を聞くと、椿ちゃんは満足そうにそう口にした。
「ペリカン物語……ヲタク……」
そしてもう1人。
ボソリと、真っ直ぐな鋭い瞳を揺るがさず呟く、1人の少年。
まだ考えてたんだ、と私は植木くんの様子に苦笑いを浮かべる。
「そうか!」
すると突然、大きく叫んだ植木くんの表情が明るく晴れた。
え、何かあったの?

