「宮永!」 「へ?」 少し歩いた時、不意に聞こえてきた声に私は振り返る。 「また学校でなー」 いつもの元気な笑顔。 ブンブンと手を大きく振る清水くんに私も“またね”と、振り返す。 「それから……」 「どうしたの?」 急に真剣に変わった彼の眼差しに、私の瞳はとらえられる。 ……何か、あったのかな? 観覧車の中といい、今日の清水くんはどこか変だ。 「俺さ――」 次に聞こえてきたのは温かい笑顔に包まれた、私の耳を擽る声だった。 それはユラユラ私の心を揺さぶって。 そして、熱く締め付けた。