「先生? 何怒ってるんですか」
直ぐ様始められた、椿ちゃんの作戦。
「生徒に白鳥と言われて、怒らない奴がどこにいる」
「え、まさか、白鳥って先生のことだと思ってたんですか!? そんなわけないじゃないですか! ね、笑佳」
「そ、そうですよ。先生!」
しどろもどろになりながらも、私は椿ちゃんに話を合わせる。
「じゃあ、その“白鳥”ってのは、誰のことなんだ?」
「ああ! それですね。嫌だなぁ、先生。漫画のキャラクターですよ。実はあの2人重度の漫画ヲタクで、四六時中、休み時間にも漫画の話をしてるぐらいなんですよ。それで、『ペリカン物語』っていう漫画があるらしくて、2人はその話に出て来る主人公のペリカンのペリオを虐める意地悪な白鳥がいるらしくて、その白鳥に向かって悪口言ってたんです! ……それに、超優しくて超カッコイイ先生に“白鳥”だなんて誰も言いませんって」
まるで台本でも作ってあるんじゃないかと思うくらい、スラスラと巧に言葉を操る椿ちゃん。
椿ちゃん、凄いよあなた。

