「じゃ、いくわよ」
鞄のポケットから、携帯を探り出す。
緊張のせいか小さく震える指で、ゆっくりとそれを操作する。
それから、電話帳の“笑佳”を押した私は、ゴクリと息をのみ、そっと携帯に耳を付けた。
――プルルルル。
「もしもし」
「もしもし。あのさ、笑佳」
「どうしたの? 椿ちゃん」
「それがね、ゴホッ……朝起きたらゴホッ、熱あるみたいでさ、今日行けなくなっちゃったの。ゴホッ……」
「椿ちゃん、熱なの。大丈夫?」
「ええ、ありがとう笑佳。ホントにごめんね。ゴホッ。それと、亮介も突然の腹痛に襲われたとかって連絡あって行けないみたいだからさ……」
「ん?」
「せっかくだから、清水と2人で遊園地、楽しんできてくれない? ゴホッ、ゴホッ……」

