「よしっ。そろそろね」
身支度を済ませ、準備万端になった私は、高鳴る鼓動を押さえつけながら一つ、自らに喝を入れた。
――……
待ち合わせ場所である、西公園。
子供たちが駆け回り、いつも笑顔絶えない賑やかな場所。
そんな場に、薄いピンクのふんわりとしたミニスカートを、なんとも愛らしく着こなした1人の少女と、何だかソワソワとしているような少年の、2人の姿があった。
「犬塚、準備は整ったな」
「ええ、そうみたいね」
数分前、途中亮介と合流した私は、公園の男女2人――清水と笑佳を茂みから、まるでスパイのように凝視していた。
「亮介」
「ああ。わかってる」
ちらりと横を見て、“静かにしてね”と合図を送る。それに反応してくれたらしい亮介は、まっすぐな眼差しで頷き返してくれた。

