【完】スマイリー☆症候群




「あの、すみません……」


と、不意に戸の方から透き通った女性の声。

あまりに突然なことに、私達は驚いて瞬時に視線を扉に向ける。


「あの、これ、配っていただけませんか?」


そうやって、その女性は白取先生の前にプリントの束をつきだした。


「ズキュンッ」


その瞬間、空気が揺れた。

今、何かが私達の耳に伝ってきたんだ。

先生の方から聞こえた不思議な音に、訳の分からない私は、一瞬幻聴かと疑う。

普通では決してあり得ない、それ。

“ズキュンッ”

確かにそれは、正真正銘、白取先生の口から放たれたのだ。

いや、だけど。

それってそんなに、あからさまに聞こえる擬音だったっけ!?