「あの、すみません……」
と、不意に戸の方から透き通った女性の声。
あまりに突然なことに、私達は驚いて瞬時に視線を扉に向ける。
「あの、これ、配っていただけませんか?」
そうやって、その女性は白取先生の前にプリントの束をつきだした。
「ズキュンッ」
その瞬間、空気が揺れた。
今、何かが私達の耳に伝ってきたんだ。
先生の方から聞こえた不思議な音に、訳の分からない私は、一瞬幻聴かと疑う。
普通では決してあり得ない、それ。
“ズキュンッ”
確かにそれは、正真正銘、白取先生の口から放たれたのだ。
いや、だけど。
それってそんなに、あからさまに聞こえる擬音だったっけ!?

