【完】スマイリー☆症候群




「……そろそろ席に戻ろっか?」

「そうね」


顔を見合わすと、私達は深く溜息をついた。

武藤先生の明らかなキャラの変貌っぷり。それから、柳葉先生に対するあの態度。

それを間近に目にした私達は、本人よりも逸早く『白鳥失恋物語』を悟ってしまったんだ。


――キーンコーンカーンコーン。


「チャイム鳴ったぞー! さっさと席に着け〜」

「……ねぇ、笑佳。何か今日の先生、すっごく楽しそうじゃない?」


席に着くと、突然声が聞こえ前を向く。


「そ、そうだね。何か良いことでもあったのかな? はは……」


只今淡い恋心を抱いている白取先生は、いつになく笑顔全開で教卓の前に立っている。

そんなことだなんて一切知るよしもない薫ちゃんに、私はあやふやな返事を返した。