―――それから何日か経った。



啓とは喋っていない。理由は自分でも分からない。



「由香由香由香由香!!! 大変だよ、アノ子が来る!!!」



「アノ子って誰?」



私は 家庭科での出来事を すっかり忘れていた。



「もう忘れたの??あのハーフっぽい子!」



私の机にもたれ掛かり 息を切らす沙耶。



どうやら 職員室で盗み聞きしたようだ。



「え?まさかウチの学校にしたの?」



「そーゆー事!!!!!」



―――えぇぇ...




「席に着きなさい!!今日はみんなに紹介したい子がいるのよ」



担任が声を張り上げた。



   ガタガタガタガタ...



まさか アノ子が来るとは...



いや、でももしかしたら 沙耶の聞き間違い?



「さ、入って」



担任が ドアの向こうへ手招きをする。