サッカー部で、女の子にモテまくってるのは知ってる。

雲母ちゃん。

意外とミーハーなんだなと思ったのは確かだったけど。

小学校の時から、ボクみたいなナヨナヨ系の男子と一緒なら、そういう男らしい男子に惹かれるのは年頃だから仕方ないのかもしれない。


王子様は確かにカッコいい。


ボクはカワイイ。


この違いに。


胸がざわざわする。


雲母ちゃんは一生懸命、チョコを溶かしてる。


ねぇ、雲母ちゃん。

そこで溶かしてるのはチョコ?

それとも……大好きですって気持ちなの?


「ね、もう良いかな?」


ボクの方をぱっと見る。

チョコをのぞくと、イイ感じで溶けていた。


簡単に型に流し込んで、チョコペンでデザインするだけのチョコ。


不器用な雲母ちゃんでも簡単にできるそのチョコを……ボクは貰えないんだな。


そう思ったら、なんか目頭が熱くなった。