だって、ボクがこうしている間にも雲母ちゃんが晃永くんの正体知らずに告白しに行っているかもしれないんだもん。

ボクだって男なんだ!!

好きな子は自分の手で守らないと……って思うんだけど。


走って、走って。

いっぱい走って。

学校中を探しまわって。

やっと雲母ちゃんを見つけた。


「雲母ちゃん!!」


声をかけたボクに、いつもの雲母ちゃんの笑顔と声が返ってくる。


「黎、どーこ行ってたの? 探したんだぞ!!」


にっこりと元気な笑顔に、ボクはなぜか不安を覚える。


「どうかしたの?」


ボクが声を掛けた時。

一瞬だけど、雲母ちゃんの肩がビクッて震えたような気がしたんだ。

一瞬だけど、雲母ちゃんの目が滲んで見えたんだ。

気のせいかなって思うけど。

たぶん……ううん。

絶対に気のせいじゃないよ。