雲母ちゃんの気持ちを思うと。

晃永くんのことは言えない。

だって、昨日、雲母ちゃんはすっごく心をこめてチョコを作っていたんだもん。

だから……言えない。

でも。

晃永くんがあんなヤツなのに。

雲母ちゃんと上手くいったら……それはすごく苦しい。

大事にされるか分からない。

ううん。

大事にされても、ボクは嫌だ。

だって。

ボクは雲母ちゃんが好きだから。

じゃぁ、どうしよう?


落ちているチョコをどうにかしないとと。

カバンの中を開けて、飛び込んできたものに心が奪われた。


スカイブルーの包装紙。


雲母ちゃんに渡せないのに、どうしても置いてはこられなかったチョコの箱。


ごくりと唾を飲み込む。