ボクはと言えば。

やっぱり5つくらいはあるわけで。

それをカバンの中に一つ一つ丁寧にしまっていく。


「モノ好きもいるもんだな」


背後からの声にボクはぱっと振り返った。

ボクの後ろから覗きこむように見ていたのは、恋の宿敵(ライバル)である晃永くんだった。

晃永くんはボクの方を見つめながら靴箱を開ける。

瞬間。

溢れていたチョコがザラザラ雨のように落ちる。

でも、晃永くんは拾わなかった。

そのままチョコを放置して行こうとする。


「ね……ちょっと……」


晃永くんを呼びとめると、鬱陶しそうにこちらを振り返った。


「なんだよ?」

「えっと……あの……チョコ!!」


睨みつけられて、これ以上はないくらいドキドキしてるボクの小さなハート。

晃永くんは「それのこと?」と言って、放置されたままのチョコを指差した。


「欲しいならやるよ」