バレンタイン当日。

学校内は朝から大盛況。

あっちこっちでハートが飛び交って、玄関では黄色い声がいっぱいしていた。


「黎、靴箱開けるときは気を付けなよ」


うん。

とボクは頷いた。

でも、ボクより雲母ちゃんの靴箱の方がすごいよ。

だって……すでに靴箱からチョコの箱らしきものが見えてるし。


すると雲母ちゃんはカバンから紙バックを取り出して、靴箱の下に広げる。


そして一気に開けると、案の定、そこからチョコの箱が降ってくる。


「何個?」

「さぁ? とりあえず10……かなぁ?」


後輩からたくさん貰う雲母ちゃん。

色取り取りの包装紙を眺め。

大きさもいろいろの箱を数え。

ちょっと困ったように笑う。


周りの他の男子が雲母ちゃんを羨ましそうに見てる。


嫉妬かな?

そうだよね、雲母ちゃん、一応女の子だもんね。