「まずハタキで埃を落として、それから掃除機をかけてから、最後にモップかける……ちょっと聞いているの!?」

というわけで俺は持ってきた衣装……ではなく(ハデすぎるため)、用意されていたメイド服に着替え、美樹さん(先輩メイド)に掃除の仕方を教わっている。

あと三日しかないというのに──ノンキに掃除している場合ではない。

「すいません!」

「一度しか教えないからしっかり聞いて覚えてよね」

「はい」

一応、やる気は見せておかないと怪しまれるからなぁ。
しかし、どうこの状況を脱して梨里華嬢に接近するべきか……。

「これから警察の人達もたくさん来るみたいだから。その前に掃除終わらせましょう」

「警察?」

「やだ……あなた知らないの?怪盗バレンからの予告状のこと」

「いえ、何も」

な〜んてな。あちらさんも警備に動き出したか。

「狙われているらしいのよ。お嬢様の指輪が」

「美樹さんは見たことあります?その指輪」

「そうねぇ〜しっかり見たわけじゃないけど必ず指にははめていらっしゃるわね」

やっぱり。
ってことは──指輪だけ盗むのは不可能なのか?

「お嬢様のお部屋は──この先の角でしたっけ?」

「いいえ、そこの角を右に紛った突き当たりだけど」

よし、場所さえ分かればこっちのもんだぜ。

「あとは一人でできるので美樹さんは自分の仕事に戻って下さい」

「分かったわ。でも終わったら教えてね、チェックするから」

「は──い」

さてと!こから本業開始といきますかっ!