あ〜あ。

念のため?ってことで、右手には例の服たちを詰めた手提げ袋……そして左手には屋敷までの地図。
頭にはロングヘアーのかつら。

万が一知ってるヤツに会ったとしてもバレることはないと思うが……。

「話をややこしくしないためにも誰にも会わないこと祈るしかないな」


「何やってるの?澪斗」


──!!
げっ!亜実っっ!


ってかなんで俺だと分かったんだ?

「あ、いや、その……人違いです──!!」

「こらっ!ちょっと待ちなさいよ!」

俺は振り返ることもなくただひたすら走った。
もはやそうするしかなかったのだ。

神谷亜実(かみやあみ)は隣に住んでるやつってとこかな。うん。
あいつよくウチに遊びに来るんだけど──まさかあのタミングで会うとは。
寿命が十年は縮まったぜぃ。今頃、千夜のヤツ尋問に責めだな。(ざまぁみろ!)
因みに亜実はオレたちの裏の顔はもちろん知らない。



「あっ!あったぞ!ここだな」



そんなことを説明しているうちに屋敷に着いていた。