俺……。なんでこんな恰好させられているんだ!?

レースとフリルがふんだんにあしらわれたエプロンとピンク色のワンピース。しかも丈短すぎねぇか!

「似合うね〜お兄ちゃんっ!うん!バッチリ!これならバレないっ!」

うーむ──、素直に喜べない……。

「思うんだが、お前がこの恰好する方がいいじゃねぇか?ビジュアル的にも……な」

「じゃ聞くけど誰が情報集めているんだっけ?誰が作戦練っているんだっけ?そして何より!このメイド服を用意したのは?」

「……全部、お前だ」

反論する余地もない。

「分かっていればよろしい。それに私が忍び込むより、お兄ちゃんの方が都合もいいでしょ。怪盗バレンの役目はお兄ちゃんなんだし」

そりゃあ……そうだけど。

「……」

「今日から新入りのメイドが入るってのはあちらさんも了承済みだから」

了承済み……?!

「一体どういうことだ?」

アルバイト募集の記事?

「そっ、これに申し込んだら受かってしまったわけ」

いつの間に……。

「お前なぁ〜!」

「ここまで段取り揃えたんだから!成功しようね!お兄ちゃん!因みに履歴書と面接は千夜の名前でしてあるから!」

やはり、俺はまだ妹には勝てないようだ。