「……っ」

朝の光がまぶしく照りつける、宝城家のベットに彼女は居た。

「梨里華お嬢様!!」

「妙──。私……」

「よかったですぅ!ご無事で何よりでございます!目が覚めなかったらどうしようかと思いましたよぅぅぅ」

「確か、怪盗バレンと一緒に……!?」

指輪をはめていたハズの右手の薬指には何もはまっていない。

「お嬢様!指輪はどうなさったのですか!?まさか──」

「いいえ。違うわ、私が差し上げたのよ」

「?」

「怪盗バレンにね……」

彼女はとてもすがすがしい表情をしていた。





「お兄ちゃん!やったね!今回も大成功!」
千夜は嬉しそうにVサインしてみせた。

「まぁ……な」

「どうしたの?なんからしくないな〜やたらに大人しいのが不気味」

「そんなことねぇよ」

まだまだ俺たちの仕事は続く。目的を果たすまでは。
そして──。

じいちゃんの言いたかった、あの言葉の意味もなんとなくだが分かった気がする。
一つだけ明らかになった真実。


【人の心は──盗むことができる】かもしれねぇってこと。



『梨里華様

あなたのハート確かに頂きました。

怪盗バレン』



END