「今宵、あなたのハートを盗みに参りました」

「怪盗バレン──、ようこそ!と言うべきなのかしら」

「あなたの望み叶えに参りました。その代わり一つだけ約束して下さい」

「約束?」

「ええ、あなたの望みが叶った証としてその指輪を俺に頂けないでしょうか?」

「……分かったわ」

「交渉成立ですね」


俺は窓に張られた赤外線に向かって例の装置を投げつけた。


制限時間はたったの三十秒!


「早く俺に捕まって!」

「はい!」

「あとはこの鍵を開けて外に出れば……って、あれ?なんだこれ!開かねぇ」

「もしかしたら自動的に鍵が開かないように制御されているのかも」

マジ?
こうなったらヤケだ!

「しっかり捕まってて下さいね」


バ──リンっっ!!


窓ガラスに体当たりをしてガラスを割る。
かなり危険で危ないがこれしか方法がなかった。

それに俺を捕まえるためにこれだけ警官がいるんだ、すぐ追ってが来ることも予測はできていた。

「待て──!」

間一髪、俺たちは窓から脱出に成功し、背中に用意していたハングライダーで空を飛んだ。


なんとか今回も成功はしたようだ。