「そろそろ時間だな」

「赤井警部!警備は整ってます」

「さぁ、どこからでも現れてみろ。怪盗バレン!今日こそその手首に錠をはめてやる」

あと二分──。

警察も毎度毎回ご苦労なこって。こっちは屋敷中にもういるんだよーん。


「よし、時間だ」

警察官の服を着て警備に混ざっていた俺は、一気に梨里華嬢の部屋までダッシュした。

「何者だ、お前!」

「ふふっ」

部屋の前で見張っている警官に腕を掴まれたが、そいつの腹のあたりを思いっきり殴ってやった。

「うっ……」

なんだ意外に弱いな。気絶してしまう警官。
その他にも周辺に居た警官が、俺のところに数人集まってきた。


ドカっ、バシっ……バコっっ。


「まっざっとこんなもんかな」

俺は警官の倒れた山を横目に、梨里華嬢の部屋に乗り込んだ。


「けっ、警部、ヤツが現れました……」

倒れた警官の一人が最後の力を振り絞って、無線で連絡をする。

「やつめ!いつの間に!」