「はあ?」

「昨日俺とお前が会わなかったら、お前は今ここにいられない。」

青空は首をかしげた。

「会わなかったら、死んでるんだ。

この世には存在しない。」

理解できたか?」

青空は渋い顔で頷いた。

「生きていないはずの人間が生きている。

そこで、問題が生じる。

『今』を進む時間と『未来』を進む時間にズレができるんだ。

その『ズレ』を時空が治そうとする。

治すためには、お前が死なないといけない。」

「んー……わかんない。」

「…例えば、道路のど真ん中にお前がいたら、車はどうする?」

「どいてって言う。」

「違う。答えは『ひく』だ。それか『はねる』。

時空も同じことする。

そういうことだ。」

「えー、ひどーい。」

「ひどいじゃねえよ。馬鹿。
契約したからお前を見殺しにはできないが、

腕か足が取れたり折れたりするかもな。

それぐらいは覚悟しておけ。」

「…かなりサラっと言ったけど、腕取れるって何!?

どういう状況?!」

「さがれ。今すぐ。」

青空は急な一言に困惑しながらも、少し後ろに下がった。


ヒュ


目と鼻の先を何かが落ちていった。

サクッ

床に突き刺さったのは、包丁。

少女はそれを引き抜き、眺めながら尋ねた。

「刺さったら…どうなっただろうな?」

「……」