「いや、ホントに、ごめんなさい。そんなに…」

「ふッ」

「フ?」

「ハハハ…!」

青年が笑いながら振り返った。

青空は、意味が分からない。

「演技だよ、演技ー」

「は?」

「俺には主とかいらないんだよ。

じゃ、ここ開けとけよ。

あいつ連れて来るから。」

また、闇の中へ消えていった。

青空もまた、口を半開きにしたままつっ立っていた。

「はあああぁぁ〜」

大きなため息とともに床に寝転んだ。

ゆっくりと目を閉じ、

深い眠りに…



つくはずだった。


ドサッ


体の上に、重くはないが、軽いとは言えない大きなものが落ちてきた。

「何ですかぁ…?」

「そいつ、朝には起きるだろうから、よろしく。」

「よろしくじゃないッ…」

青空が体をおこすと、もうそこに青年の姿はなかった。

代わりにいるのは、静かな寝息をたてるあの少女だった。

青空はため息をつきながらも、少女の身体をベッドの上に上げた。

鍵はかけずに窓を閉め、

かちゃ パチッ

部屋のドアノブに手をかけ、電気を消し、静かに言った。

「…おやすみ」

かちゃん