私が泣きやむまで彼は抱きしめていてくれた。

「落ち着いた?」
「うん…」

彼の腕の中…
暖かい
落ち着く…

「ごめんなさい…私、私…」
「もういいから。何も言わないでいいから」

私達は病室に戻った。
彼はあの時と変わらず手を握っていてくれた。

「なんで…こんな事を…そんなに嫌なの?」
「もう俺から離れないでくれよ!!いなくなろうとしないで!!」

彼の言葉が眠りつく私の耳に届いた。
ごめんね…本当は貴方から離れなきゃいけないんだけど…離れられないの
ごめんね…

私はそんな事を思い眠りについた。
私は今のままでも十分幸せだよ。貴方の腕のヌクモリも手の暖かさも知ってる
それだけで十分幸せ
もう何もいらないから…
貴方を解放してあげたいの私から…

私といると幸せになれないと思うから
だから私から離れてほしいから
赤ちゃんが出来ても産む事は出来ないの…

「俺は今こうしている事が幸せだよ!!そこに子供が出来てもっと幸せ
これから三人で暮らして幸せな家族を作って…
だからもう俺の側から離れないで…
俺は幸せだから」

彼は私が寝ているのに話かけ続けた。
私の手を涙でぬらして…

幸せ…
幸せという言葉…
この時…今に…
きっと使うのが正しいのだろう
幸せな時が流れているのだろう…
私にも貴方にも
今ここに…
幸せという時間が